鼠径ヘルニア手術 | 外科
鼠径ヘルニアとは~定義
「ヘルニア」とは、本来なら内部にあるものが突き出ている現象を意味しています。
「鼠径ヘルニア」は、お腹の中にある内臓(主に小腸)の一部がももの付け根(鼠径部という)の筋膜の間から皮膚の下に出てくる病気です。
「鼠径ヘルニア」には生まれつきのものと後天性のものとがあります。患者さんは乳幼児から高齢者まで男女を問わず、幅広く分布しています。乳幼児、女性のヘルニアはだいたいが生まれつきのものです。後天性のものは高齢者の男性に多く見られます。
症状
「鼠径ヘルニア」の症状は、ももの付け根に生じる柔らかい腫れ・しこりです。最初は立った時とかお腹に力を入れた時のみに起こりますが、進行すると 常時出てきてしまうようになります。サイズもだんだんと大きくなる傾向があります。最初は無痛ですが、徐々に痛むようになります。この腫れは、普通は指で 押さえると引っ込みますが、堅くなり押さえても入らなくなる時があります。これを「ヘルニアのカントン」と言い、腸閉塞、腹膜炎を引き起こす可能性があ り、危険です。この際には緊急手術を必要とします。
診断法
「鼠径ヘルニア」の診断に特別な検査は必要ありません。専門医の診察のみで診断が確定します。
治療法
「鼠径ヘルニア」は自然には治りません。治療には根治手術が必要です。カントンを起こす前に手術を受ける事が勧められています。いつカントンが起こるか予想は難しいので、診断が確定した時点でなるべく早く治療を受けた方が賢明です。
根治手術には、筋膜を縫い合わせる方法と、メッシュという網のような素材で穴をおおう方法とがあります。乳幼児は筋膜を縫い合わせる方法で十分ですが、大 人は再発率の低いメッシュを使用する方法が最近は主流になってきています。メッシュを使うと手術時間も短く、再発する可能性がほとんどなく、術後の痛みも 少ない事が証明されています。当院では、現在メッシュプラグ法を採用しています。
治療期間
「鼠径ヘルニア」の手術は15~45分を要します。局部麻酔、腰椎麻酔、全身麻酔いずれでも可能です。個々の患者様の要望、健康状態によって麻酔の 種類が決められています。入院を要さない日帰り手術も条件が揃えば可能ですし、また入院して手術を受けることももちろん可能です。
入院するケースでは、通常4~7日間入院するケースがほとんどです。乳幼児の入院は2泊3日が通常の期間です。表面的な手術ですので、麻酔から回復次第、 歩いたり食べたりすることが可能です。術後の痛みは鎮痛剤で容易にコントロールできます。退院後は1~2週間の静養をお勧めしています。ただ、激しい運動 だけを避けていただくのみで、散歩等は可能です。術後の通院は大きな問題がない限り、退院1週間後と1ヶ月後の2回のみです。
日帰り手術に関して
以下の条件を満たしていれば、入院せずに、日帰りで手術を受けることが可能です。(乳幼児も含む)
条件
1.当日の送り迎え(自動車にて)、手術中の付き添い、及び術後数日の身の回りの世話ができる同居人がいる。
2.当院より一時間以内の距離に住んでいる。
3.ヘルニアがある以外は、比較的健康である。
術後
1.朝一番に手術を受ければ、昼過ぎには帰宅できます。
2.術後数時間、病室でお休みいただいた後退院となります。
3.帰宅時には鎮痛剤を処方します。
4.当日夜、翌日朝には状況を伺うために担当者より電話が入ります。
5.通院は、術後2~3日、7~10日、そして一ヶ月の計3回です。
6.もちろん、その他の緊急時にはいつでも来院が可能です。
※さらなる詳しい情報は、受診後、主治医にお尋ねください。