
ネパールで手術中の
東京衛生病院形成外科
吉本信也医師
患者さま親子と共に
東京衛生病院スタッフ
東京衛生病院では、アドラ(ADRA)のネパール口唇口蓋裂医療チーム派遣プロジェクトに協力し、毎年11月、ネパールに医療ボランティアを派遣して約60件ほどの口唇口蓋裂手術を行っています。
口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)とは、俗に言うみつくちのことです。
ネパールでは400~500人に1人の割合で生まれ、これは日本とほぼ同じ割合ですが、手術ができる医師はネパールではわずかであり、また貧しさ故にほとんどの人が手術を受けることが出来ません。
多くの人は手術をすればきれいになることすら知らないのが現状で、約4万人の人々がそのままの姿で生活しているといわれています。


日本では、生後すぐに誰もが手術を受けることができますが、ネパールにおいては手術を受けられないために日本では考えられないような様々な問題が起こります。
数年前ですが、手術に訪れた患者さまやそのご家族に日頃の生活の様子を聞いて回ったのですが、以下のような話を聞くことが出来ました。
口唇口蓋裂の子供が産まれると、周りの人から
・「親が前世で悪いことをしたからこんな子が産まれたんだ」と責められた。
・「そんな子は捨ててしまえ、殺してしまえ」と言われた。
・悪魔の子と言われた。
・本当に捨てようかと思った。
・コルマ(口の裂けた、割れた)などと言われ、いじめられる。
・自分を見ると恐がってみんな逃げてしまう。
・誰も遊んでくれず、友達はいない。
・いじめられるので学校には行けない。
・いじめで学校を辞めた。
・学校に行けなければ勉強できないのでいい仕事に就けない。
・外で遊びたくてもいじめられるので家の中にとじこもっていた。
・顔を隠して外に出た。兄弟にもいじめられた。
・なかなか仕事をもらえなかったが荷物を運ぶ仕事をさせてもらえるようになった。しかし同じ仕事をしても人より賃金が安い。
手術前
手術後
手術を受けた患者さまからは、以下のような声を聞くことができました。
・笑うようになった
・明るくなった
・いじめられなくなった
・学校に行けるようになった
・友達ができた
・外で遊べるようになった
・仕事に就くことができた
・結婚できた
ネパールにはこのような人々が約4万人いるといわれています。私たちが年1回行って手術できるのはせいぜい50~60人、数の上から言えばチリに等しいかも知れません。
しかしそれでも一年に数十人の人々が明るく生きていけるようになるとすれば、それはそれでいいことなのではないかと思います。今後もこのボランティア活動を続けていきたいと考えています。
アドラネパール医寮ボランティア担当
東京衛生病院手術室看護師長 石川雄二